2011年11月11日
助けてと言えない(本)
2年前のNHKクローズアップ現代で見た若者の孤独死を、詳しい取材で1冊の本にまとめた「助けてと言えない-いま30代に何が-」を読んでみました。
「自分が悪いのだから人には頼れない」「自己責任だ」
仕事がなく、食べるものもなく、住む場所もない30代のホームレスが増えているといいます。そして、生きていくことが難しい状況になっても、誰にも助けを求められない。ホームレスになっても、人にホームレスと悟られないように、外見だけはつくろう。彼らは、なぜぎりぎりの苦しみの中にあっても、人に助けを求められなかったのでしょうか?
30代後半は、団塊ジュニアの世代です。彼らは、日本経済の高度成長を牽引した団塊の世代の子どもたちです。団塊世代は、戦後の混乱の貧しかった時代に努力をして、経済的な豊かさを獲得してきた世代です。海外から技術を導入して、国内でいろんなものが作られていきました。大量の人口を抱える世代でしたが、仕事は十分にあり、誰もががんばれば報われる時代でした。努力をして良い学校に進めば、学歴社会の恩恵を受け、安定した職位と多額の収入を得ることができました。
そのような成功体験を持てば、やはり我が子にも、がんばって良い学校を目指すように指導するでしょう。また、団塊の世代は、個性も重視しました。
団塊ジュニアを中心とした30代は、そんな親や社会からの教えを信じて、猛烈に勉強し、個性を生かすことを目指しました。
しかし、彼らが就職するときは、もうバブルが終わり、就職氷河期となりました。世代の人口が多いのに、就職先がない。運良く就職できても、猛烈な成果主義で、体をこわす若者も大勢出てきました。
就職できなかった若者や、体調をを崩して会社を辞めた若者たちには、派遣労働者になる以外に道はありませんでした。そして、リーマンショックなどでかんたんに首を切られてしまう。
本来なら、親の考えが甘かったため、俺たちは犠牲になったんだと思っても不思議ではないのですが、彼らは、自己責任という気持ちを強く植え込まれていて、すべては自分が悪いのだと思ってしまいます。そして、人を頼ることは恥ずかしいこととして避ける。
うまく表現するのは、難しいのですが、私は、引きこもりの人たちにも30代が多いこととつながると思います。30代は、うつなど精神的な病にかかる人も多いように感じています。
本の中で、作家の平野啓一郎さんは、この年代は、個性を重視することを教えられ、自分が好きなことややりたいことを仕事にすることが良いと教えられたが、仕事というのは、社会が必要とすることをすることであって、自分がやりたいからといってそれが仕事になるとは限らないといっています。どんなに山が好きでも山を仕事にできる人は限られていますし、山の仕事をしたい人が増えても需要はそんなにないでしょう。社会が必要としているのは、おもしろくない仕事が多いのですが、自分が心に描いているもとのとギャップが大きく、自分探しの旅に出るのもこの世代に多かったのではないでしょうか?
この本は、大変お勧めです。町の図書館などで借りて、ぜひ読んでみてください。
「自分が悪いのだから人には頼れない」「自己責任だ」
仕事がなく、食べるものもなく、住む場所もない30代のホームレスが増えているといいます。そして、生きていくことが難しい状況になっても、誰にも助けを求められない。ホームレスになっても、人にホームレスと悟られないように、外見だけはつくろう。彼らは、なぜぎりぎりの苦しみの中にあっても、人に助けを求められなかったのでしょうか?
30代後半は、団塊ジュニアの世代です。彼らは、日本経済の高度成長を牽引した団塊の世代の子どもたちです。団塊世代は、戦後の混乱の貧しかった時代に努力をして、経済的な豊かさを獲得してきた世代です。海外から技術を導入して、国内でいろんなものが作られていきました。大量の人口を抱える世代でしたが、仕事は十分にあり、誰もががんばれば報われる時代でした。努力をして良い学校に進めば、学歴社会の恩恵を受け、安定した職位と多額の収入を得ることができました。
そのような成功体験を持てば、やはり我が子にも、がんばって良い学校を目指すように指導するでしょう。また、団塊の世代は、個性も重視しました。
団塊ジュニアを中心とした30代は、そんな親や社会からの教えを信じて、猛烈に勉強し、個性を生かすことを目指しました。
しかし、彼らが就職するときは、もうバブルが終わり、就職氷河期となりました。世代の人口が多いのに、就職先がない。運良く就職できても、猛烈な成果主義で、体をこわす若者も大勢出てきました。
就職できなかった若者や、体調をを崩して会社を辞めた若者たちには、派遣労働者になる以外に道はありませんでした。そして、リーマンショックなどでかんたんに首を切られてしまう。
本来なら、親の考えが甘かったため、俺たちは犠牲になったんだと思っても不思議ではないのですが、彼らは、自己責任という気持ちを強く植え込まれていて、すべては自分が悪いのだと思ってしまいます。そして、人を頼ることは恥ずかしいこととして避ける。
うまく表現するのは、難しいのですが、私は、引きこもりの人たちにも30代が多いこととつながると思います。30代は、うつなど精神的な病にかかる人も多いように感じています。
本の中で、作家の平野啓一郎さんは、この年代は、個性を重視することを教えられ、自分が好きなことややりたいことを仕事にすることが良いと教えられたが、仕事というのは、社会が必要とすることをすることであって、自分がやりたいからといってそれが仕事になるとは限らないといっています。どんなに山が好きでも山を仕事にできる人は限られていますし、山の仕事をしたい人が増えても需要はそんなにないでしょう。社会が必要としているのは、おもしろくない仕事が多いのですが、自分が心に描いているもとのとギャップが大きく、自分探しの旅に出るのもこの世代に多かったのではないでしょうか?
この本は、大変お勧めです。町の図書館などで借りて、ぜひ読んでみてください。
Posted by アルプ at 21:42│Comments(0)
│書籍紹介
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。