アルプの日記（自然と山と心の部屋）

　人に何かを求めれば、相手の人は苦しみます。求めれば求めるほど、相手は逃げていきます。
　そんな様子を、私自身が相手に語りかけるという口調で書いてみます。

　人というのは、求めれば求めるほど、逃げていくものです。

　どうしてそんなに私に求めるのか。どんなに求められても、私はあなたの期待に応えられません。私には、そんな能力はありません。だって、あなたの育ってきた環境と私の育ってきた環境は、全く違うからです。

　求めに応じようとしても、私らしい自然な振る舞いはできません。だって、それは私を偽らなければできないことだからです。無理に応じようとすれば、それがまたあなたの気に障って、不満を持つだけなのです。

　でも、あなたは求める以外に、なす術を知らない。だから、私のできる範囲でがんばってみます。決してうまくはできないはずですが。

　求めれば求めるほど人は逃げていく。求めれば求めるほど、幸せもまた逃げていきます。あなたがいつか、そのことに気づく日がくることを願っています。

　私たちは、山にあこがれ、山に登ります。なぜなのでしょうか？

　それは、山は決して求めないからです。求めないから、惹かれて近づいていくのです。

　人もまた同じです。

　写真は、冬の八方尾根から見た日の出です。自然は、誰のためでもなく、何も求めず、惜しげもなくこんな風景を私たちに見せてくれます。だから、自然はすばらしい。