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山好きが高じて、山を仕事にしています。
障害者も健常者も、心に悩みを抱える人も、そして子どもたちも、みんなで山を楽しみたいと思い、NPO法人「山仲間アルプ」を2003年4月に設立し、1年中、山を楽しんでいます。
一緒に山を楽しんでいただける方は、メールで連絡をお願いします。
プロフィール画像ですが、実は私は金峰山に住みつく鷹匠でした。>ウソウソ(^^ゞ
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2012年01月11日

心の裏側を見つめられない時代になったのか?

 今週の月曜日に、「不登校・ひきこもり支援シンポジウム」を聞きに行ってきました。

 社交不安障害と認知行動療法に関する講演を聞いたあと、NPOなどで活動している団体の方が活動の紹介などを行ったのですが、その中で、興味深かったのは、就労支援をしている団体の話です。

 いろんな活動のことを話されたのですが、高齢の人と若い人のものごとのとらえ方の違いを、ホームレスの違いで話しました。それは、ホームレスの人たちが売る冊子の販売数に対する考え方の違いです。1日に50部売ることはなかなか難しいのですが、それを達成したとき、高齢のホームレスは、「今日はたくさん売れて良かった」と思うのだそうです。しかし、若いホームレスは、「今日は売れたけど、昨日は5部しか売れなかった」と落ち込むのだそうです。

 この違いの原因をみなさんはどう思われますか?

 若いホームレスは、子どもの頃から親に、否定的な育てられ方をしたのが一番大きな原因だと思います。「こうでなければいけない」「そんなことではだめだ」という育てられ方をすると、マイナスのことばかりに心が行ってしまいますから、肯定的に物事を捉えられなくなる可能性が高く、何をやっても否定的に考えてしまう癖が付きますから、これが最も大きな原因だと思います。

 しかし、その原因を作り出す、さらに根本的な高齢の人たちと若い人たちの違いは、その時代背景にあると思います。

 高齢の人たちは、何もなかった時代から生きています。だから、些細なことでも、自分の努力がいろんな形で残ります。「このビルは俺が造ったんだぞ」と日雇いで働いていたホームレスの人は自慢げに言うでしょう。自慢話は良くないと否定する人が多いと思いますが、「自分にはこれがある」という思いは、とても大切なものです。度を超してはいけませんが、自慢も自己肯定感に大きくつながります。

 しかし、若者たちは、ものがあふれている時代に生まれてきました。だから、何をやっても当たり前です。気休めのほめ言葉をもらっても、かえって自分を惨めに感じるだけです。何をやっても当たり前で、できなければ解雇されたり、悪い評価をされてしまう引き算の人生になってしまいます。だから、プラス思考は持てず、否定的でマイナス思考になってしまいます。自己肯定感も低くなります。

 当然、落ちこぼれずに優良企業に入った人たちは、肯定的に生きられますが、落ちこぼれた人は、常に自分を否定してしまいます。(ここで落ちこぼれという言葉を使いますが、落ちこぼれなんて本来はないのですが、自分は落ちこぼれてしまったと思ってしまう人がいるので、取りあえずという感じでこの言葉を使います)


 しかし、私は、落ちこぼれる、落ちこぼれないに関わらず、今の若い人たち(と言っても30代前後ですが)は、やはりものがあふれる時代に育ってきたことによる影響を感じずにいられません。

 それは、若い世代の人たちに、心の裏側を見つめたり、人の苦労などを見つめようとしない人が多くいるように感じるのです。それが、やはりものがあふれる時代に生きた人たちの特徴なのではないかなと思うのです。

 例えば、明るい人がよいということは、誰もが思うことですが、明るさにもいろいろあることを知り、その人の明るさにはどのような意味があり、どこから来ているのかなど、その深い部分まであまり考えない人が多いように感じます。

 ものがない時代から生きている人は、ものに恵まれるようになるまでの変化をしっかりと見ているために、今、恵まれているのは、その背景として苦しかった過去があるからだとすぐに分かるし、感じるのですが、生まれたときからものに恵まれている人は、それが当たり前のことなので、その背景まで見ようとしないのだと思います。

 こんな感じで、ものが有り余る時代から生きる子どもたちに、ものごとの裏側に隠されている人の苦労や、明るさなどの裏側にあるものを見つめることの大切さをどうやって伝えたらよいのか、難しい時代ですね。

 昨年、山で会った方から手紙をもらい、その手紙に「あなたはいつ会っても何の苦労もないかのように笑顔で接してくれる。ただ、頭が下がる思いです」と書かれていたのですが、本当にうれしく、自分も、この人のように、笑顔の裏側をもっともっと見つめる人間になりたいなと思いました。

 子どもたちや若者たちに伝えるためには、もっともっと自分自身が修行しなければなりませんね。




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