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アルプ
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山好きが高じて、山を仕事にしています。
障害者も健常者も、心に悩みを抱える人も、そして子どもたちも、みんなで山を楽しみたいと思い、NPO法人「山仲間アルプ」を2003年4月に設立し、1年中、山を楽しんでいます。
一緒に山を楽しんでいただける方は、メールで連絡をお願いします。
プロフィール画像ですが、実は私は金峰山に住みつく鷹匠でした。>ウソウソ(^^ゞ
オーナーへメッセージ

2009年11月26日

普通の感覚で

 先日、ある方から、視覚障害者のガイドヘルパー講習を受けた時、視覚障害者の人にいろいろと丁寧に説明しながら歩いたら、講師役(視覚障害者)の人から、かなり厳しく叱られたという話を聞きました。普通の感覚で

 その方は、「丁寧に」という意識が強すぎて、振り向いて説明していたようです。しかし、振り向いてあれこれ言ったり、やってあげたりすると、サポートをする人がどちらに行こうとしているのか分かりませんから、視覚障害者の人は非常に迷ってしまいます。サポートする人が、身体を右に向ければ、視覚障害者の人は右に曲がると思ってしまいます。その方は、以前、私がサポートしているところを見たことがあって、冷たいやり方をしているなと感じたそうですが、大事なことを分かっていなかったようです。

普通の感覚で サポートする時は、振り向かないことが大切なのですが、それ以上に大事なことは、相手をしっかりと信頼し、相手の人が自分の判断(意志)で行動できるようにサポートすることなのです。

 先日、電車に乗っていたら、白杖を持った人が地下鉄に乗ってきました。彼は席に座らず、ドアの前に立って、携帯電話を耳に当てて、電話をするようなそぶりでした。少し離れていたので、聞こえませんでしたが、どうも話しているようにも思えませんでした。
 このような時に、重要なのは、視覚障害者は目がみえないために、席が空いているのかどうか分からないことなんです。その人が乗ってきてから、私は3駅目くらいで降りる予定だったので、降りる時まで状況を見ていました。私が降りようとしてドアのところに行っても、彼は携帯電話を耳に当てて、今までと同じ姿勢でした。ですので、私は彼に、「席が空いているけど、座りますか?」と聞きました。そしたら、彼は「どこが空いていますか?」と聞いてきたので、すぐ隣の空いた椅子を教えました。彼は座り、私は電車から出てきました。

 私は、視覚障害者の場合、その人の年齢によって違いますが、若い人は足腰は丈夫ですから、座るか座らないかは、その人の判断に任せることにしています。自分が席を譲る場合でも、「どうぞ座ってください」ではなくて、「座りますか?」と聞きます。

 電車の座席などは、最優先は、足腰の不自由な方と高齢者の方です。その次ぎに妊婦さんでしょうか? 聴覚障害の人には誰も席を譲らないと思いますが、視覚障害者の人には譲る人が多いですね。でも、足腰の丈夫さは、障害とは関係ありません。ただ、目がみえないために、席が空いているかどうか分からないという不利があることは間違いないので、そのことをサポートすれば良いだけで、判断は視覚障害者の人自身がすることなんです。これらのことを勘違いしている人は、意外と多いのではないでしょうか?普通の感覚で

 障害者は大変だから、何でもやってあげるという気持ちでは、大切なことを忘れてしまっている可能性が大きいですね。

 写真は、もう10年以上も前になりますが、春の剣岳に全盲の人と登山した時のものです。一番上は、長治郎谷右俣を登っているところです。真ん中は、最後の日に、地吹雪の中を剣沢小屋から剣岳を背に、別山乗越に向かって登っているところです。一番下は、入山日に撮った黒部丸山東壁の写真です。丸山東壁は、結局登らずじまいでした。

 障害があるからといって、障害による不利な部分以外まで特別扱いするのは、結局はお互いのためにはなりません。春の剣岳は、視覚障害者の人のために行ったのではなく、自分自身の目標達成が目的でしたので、誰のためでもなく、自分自身のためだったのです。

 このときの、視覚障害者の男性とは、いろいろあってずっと会っていません。問題が起きた時、他の人は、彼に「剣岳に連れて行ってもらったのは誰のお陰なんだ」と言って下さったのですが、私自身は、正直、そういうことをほとんど考えていませんでした。自分のため以外の何ものでもないんだから、恩を売るなんて気持ちは全くありませんでした。恩を売る人も、意外に多いのかなと感じる時がありますね。




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