すばらしいお母さん
ある脳性麻痺の男性との会話で出た話ですが、彼は、お母さんから「人に主張する前に、自分が悪かったとまず思いなさい」と教えられているとのことでした。
私は、「それは大事なことだよね。ただ、主張してはいけないということではなくて、主張するときには、まず相手の気持ちを考えることが大切なんだよね」と言ったら、彼は「お母さんもそう言っていました」と言っていました。
私は、「それでも気持ちを抑えられないときは、切れたって良いんだよ」と言いました。
ある人が、「彼はとても明るくて良い人だな」と言っていたのですが、やはりお母さんの考え方のすばらしさにその理由がありますね。
我が子が障害を持っていると、障害を持つ人と接した経験がないために、はれ物にさわるかのように、遠慮したり、腰が引けたりして、何でもわがままにして良いと教えることが多いようですが、そうして育った子どもは、社会から嫌われることの多い大人になってしまいます。
このお母さんは、障害を持つ我が子を、障害者としてではなく、ひとりの人間として育てたのですね。
このお母さんのように、しっかりと自分の考え方、生き方を持ち、それを基に、子どもの育て方を考えることが大切なことですね。
河合隼雄さんの本を読んでいたら、ある心理療法家から聞いた話として、家庭内暴力をふるう男性とその両親のことが書かれていました。
両親は、その子どものために、いろんなものを与えたり、その子のためと思うことを十分にやってきたのに、子どもはいったい何に不満があるのかと言っていたそうです。
子どもは、ある時、「この家には宗教がない」と言ったそうです。
これは、形の上での宗教ではなく、親がしっかりとした信念を持っていないことが不満なんだということなんですね。
自分の考えをしっかりと持っていなくて、何かをしてあげれば人は喜ぶと思ったり、ただ常識を当てはめたりする生き方に、その男性は憤りのないいらだちを感じたのだと思います。
人はおもしろいですね。なかなか自分をしっかりと見つめられないものです。だから、永遠の課題として、人生とは何かというような命題があるのですね。
右の写真は、少し前ですが、2月に行った西穂山荘への登山道で撮った樹氷の写真です。自由に枝を伸ばし、何も求めず生きています。人の生き方のお手本のような存在ですね。
関連記事