心のケア

アルプ

2011年04月08日 21:55

 今読んでいる河合隼雄さんの「いじめと不登校」という本は、阪神淡路大震災のあとに、出版されたもので、大震災のあとに、心のケアを行った話が書いてあります。

 とは言っても、河合さんが行ったことではなくて、言った方の話を基に書いているのですが、心のケアを行おうと思って、避難所に行った人が、心配事がないかとか、震災の体験などを話してくださいと被災された方に言ったら、聞かれた方は腹が立って、怒ったそうです。当然のことなのですが、「怒られてしまった」といって、帰ってくるような人は、最初から行かない方が良いと書かれています。これは、講演の内容を本にしたものなので、結構、おもしろおかしく話しているようですが、確かにその通りなのですね。

 河合さんは、怒られてから心のケアが始まるとおっしゃっています。

 避難をしている方たちは、悲しい気持ちや怒りたい気持ち、絶望の気持ち、自分の気持ちを抑えなければと言う気持ち、他の人たちのことを思いやる気持ち、思いやらなければいけないと言う気持ちなどなど、さまざまな感情、時には相反する感情が、自分の中で渦巻いているはずです。

 そんなところに、のこのこ、被害に遭っていない人が行ったら、「何をしに来たー」と怒りたくなりますね。心のケアをしてあげたいと思うならば、その怒りの気持ちをそのまま受け止めなければならないのですね。怒られることはつらいです。でも、被災された方たちは、その何倍もつらいですよね。怒りをぶちまけることで、ほんの少しだけ、気持ちが軽くなるかもしれません。

 「自分はよいことをしたのに、なぜ怒られなければならないんだ」と思うようでは、心のケアなんて、とんでもないと言うことですね。


 ここに来て、急にすっかり春になってきました。写真は、昨日撮った見事なしだれ桜の写真です。


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